水中写真家・中村征夫氏による写真集『裏磐梯 五色沼湖沼群―日本の湖水地方』
2025/07/18
写真集『裏磐梯 五色沼湖沼群―日本の湖水地方』ご紹介
福島県の磐梯朝日国立公園に位置する五色沼湖沼群は、1888年に磐梯山が水蒸気噴火を起こした際に形成された自然の奇跡です。
ホテルより徒歩10分弱での毘沙門沼、赤沼・深泥沼など、それぞれ異なる色彩を湛える多数の湖沼からなり、国立公園内でも特に厳格な保護が必要とされる「特別保護地区」に指定されています。そのため一般の立ち入りが厳しく制限され、水中撮影に至っては環境省の特別許可がなければ不可能な場所です。
中村征夫氏は、この貴重な自然景観を後世に伝えるべく、環境省から特別に許可を得て水中撮影を行うことのできる数少ない写真家の一人です。1988年から現在に至るまで、四季折々の五色沼の姿を追い続けてきました。湖水の底から射し込む光、水中に反射する木々の緑、季節ごとに変化する湖底の様子など、私たちが普段目にすることのできない水中世界を、圧巻の美しさで捉えています。
本書では、五色沼湖沼群の水中写真を中心に、湖面から見た風景や季節の移ろいを表現した地上からの写真も収録。中村氏独自の視点と技術で捉えた美しさと神秘を堪能できる一冊となっています。
また巻頭には、高貝慶隆福島大学教授による五色沼湖沼群の成り立ちや美しさの秘密ついての解説も掲載。自然科学的な知見と芸術的な写真表現の両面から、この稀有な自然遺産の価値を伝えます。
自然保護の重要性が叫ばれる現代において、厳重に保護された特別な自然の姿を記録した本写真集は、環境保全の意義を考える上でも貴重な資料となるでしょう。美しい自然との共生を考える契機となる、珠玉の一冊をぜひご覧ください。